大阪市旭区にある児童福祉施設。主に発達障がいのあるこどもたちが生活しています。

社会福祉法人 大阪福祉事業財団 豊里学園

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卒業後、安心して生活するために(自活:ひかり)

豊里学園の子どもたちの多くは、卒園後にグループホームに移行します。

高校3年生になると学校でも進路の話をすることが多くなり、また卒業したら基本的には豊里学園も退所し生活の場も新しくせざるを得ず、どうしても「卒業後のこと」に悩んでしまう時間が増えてしまいます。

 

そんな中で、学園にいる間に自立生活に向けての経験を積んでもらうために、自立生活に向けた「ひかり」という部屋を用意しています。こちらは1DKの定員2名、キッチン、バス・トイレもこの「ひかり」の中にあり玄関も独立しています。

今年度は高校3年生の女の子2人が生活することになりました。

この2人は小学生の時から一緒に生活してきていますが、一人は大きな音で踊ったり歌ったり、みんなとワイワイするのが好き。一人は1人で静かに過ごすのが好き、と性格は真逆です。なので職員みんな、二人が「ひかり」で一緒に生活する事になったら喧嘩が増えるのでは、お互いストレスをため込んでしまうのでは、と心配していました。

なので「ひかり」での生活を始めるための準備から「二人で相談して」というのに重点を置き、まっさらな部屋に必要なものはなにか何を買って用意しないといけないか、掃除当番は、等すべて二人主導で考えてもらい、職員はそこに不足しているものをアドバイスで誘導する、というように進めていきました。

実際に相談した結果を聞くと、職員も「そんな細かい所まで意識できているのか」と驚くことが多々ありました。

5月から移行したのですが、5月は二人での生活に慣れる、掃除など清潔を保つことを目標にしました。そして6月からは「朝ご飯を自分たちで用意する」にしました。

献立表づくりも二人がメインで作りました。作るにあたり「なにが何円するのかわからない」「どいういったものがスーパーにあるのかわからない」というので職員と一緒にスーパーに行き物の値段をメモしています。そうすると「わからない」「むり」とも話していましたがしっかりと考えてメニューも作る事ができました。

一番驚いたのは、一人は牛乳嫌い、一人はゼリー嫌いなのにメニューに牛乳が入っていることでした。「大丈夫なの?」と聞くと「スーパーで自分が食べれるものを選ぶから」とのこと。これも「提供された物を食べる」ではなく「自分たちで考え選んで食べる」ことの効果だと思います。

 

職員側はさまざまな不安、心配があったのですが今のところビックリするくらいケンカなく落ち着いてそれぞれのペースで生活されています。嬉しい結果になっています。

今後もお昼ご飯を自分で用意する、夕食を職員と作る、というふうにステップを重ねていく予定です。その都度、自分たちで考え「なにがわからないのか」を知って将来の不安を減らして新しい生活に向かって行って欲しいと思っています。